「ほらゴロリ、ここをね、こうやってね、ぺったんテープでとめて……ほうら、かんせーい!!」
できあがったこうさくのロケットを見て、ワクワクさんはむじゃきな声をあげました。いっぽうゴロリは、そんなワクワクさんを、少しさめた目で見つめていました。
(ワクワクさんのやり方ではもうダメだ。多くのものにあふれているこの世の中、こんなようちなこうさくでは、もはやげんだいの子どもたちの心をひきつけることはできない!)
心の中ではそうおもっていたゴロリですが、ワクワクさんのてまえ、その思いを口にすることはけっしてしませんでした。
そんなある日、ワクワクさんがびょうきでたおれ、『つくってわくわく』はゴロリ一人でしきることになりました。
(ぼくは……ワクワクさんをこえてみせる!ワクワクさんよりも多くの子どもたちをひきつける、りっぱなこうさくをかんせいさせてやるんだ!!)
ゴロリは、はりきりました。ワクワクさんの今までのやり方をいっしんし、ゴロリがかんがえた、少しむずかしいけど、かっこよくて、きのうがすぐれていて、じょうぶなこうさくを子どもたちにおしえました。
さいしょはやはり、しこうさくごの毎日でしたが、げんだいに生きる子どもたちの心をじょじょにつかんでいき、たちまち『つくってわくわく』は人気ばんぐみとなりました。
ゴロリはうれしくて、さらにがんばりました。いっしょうけんめいべんきょうして、「力学」「材料力学」「機械設計」「電子工学」など、さまざまながくもんをこうさくにとり入れました。
しかし、もののはやりすたりは早いもので、ゴロリのこうさくはすぐにあきられてしまいました。また、ゴロリのこうさくは、あんまりにもむずかしすぎたため、子どもたちはついていけず、とうとうゴロリのこうさくから心がはなれていってしまったのでした。
(なにが……いったい、ぼくのなにがいけなかったんだろう……)
ゴロリはくびをかしげて、かんがえました。じぶんはただ、子どもたちがよろこぶようなこうさくをしているだけなのに……。
そんなとき、ゴロリのもとにとつぜんのしらせがやってきました。ワクワクさんが、にゅういん先のびょういんで、なくなったのです。まっきのガンでした。
ゴロリは泣きました。千のなみだをながして泣きました。泣いて、泣いて、もうこれいじょうなみだは出ないと思うほど泣きました。
かなしみにくれて、ごはんもろくに食べられず、いぜんより50キロもやせたゴロリは、ある日、ワクワクさんのへやでいひんをせいりしていると、一つうの手がみを見つけました。
ゴロリは、なみだでくもった目で、その手がみをよみました。
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ゴロリへ――
げんきでやっていますか?あいかわらず、たのしくこうさくをやっていますか?
ぼくはびょうきになってしまって、ゴロリといっしょにこうさくができないことが、とてもざんねんです。
『つくってわくわく』をゴロリだけにまかせてしまってもうしわけない気もちと、ゴロリが一人でだいじょうぶかなぁ、というしんぱいな気もちでいっぱいです。
でも、ゴロリがうまくやっているようすをテレビで見て、ぼくは少しあんしんしました。
ねぇゴロリ。ぼくはそれでも、さいきんのゴロリを見ていると、ものすごくしんぱいです。
ゴロリはさいきん、こうさくしているときに、わらわなくなったね。
前までのゴロリは、ものすごくたのしそうに、しあわせそうにこうさくをしていました。でも、今のゴロリは、なんだかむずかしそうなかおをしています。だいじょうぶかな?
ゴロリ、「こうさく」にとって、いちばんたいせつなものって、なんだと思う?
“かっこよさ”じゃないよ。
“きのう”じゃないよ。
“じょうぶさ”でもないよ。
もちろん、それらもたいせつなものの一つではある。だけどね、ちがうんだ。
「こうさく」にいちばんたいせつなもの――それはね、“わくわく”だよ。
じぶんでつくっているときの“わくわく”、かんせいしたときの“わくわく”。
そんな“わくわく”のキモチこそが、“「こうさく」そのもの”なんだよ。
ゴロリ、またいっしょに、こうさくできるといいね。いっしょに“わくわく”できるといいね。
それじゃあ、またね。
――わくわく
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ゴロリはまた泣きだしました。万のなみだをながして泣きました。泣いて、泣いて、もう一生ぶんのなみだを出しきったと思うほど泣きました。
そして、けついしました。
(ぼくが……ぼくがワクワクさんの“わくわく”をみんなにつたえなければ!!)
そのご、ゴロリはこうさくのほうしんをかえ、だれにでもかんたんにできる、たのしいこうさくを子どもたちにおしえていきました。
子どもたちはいつでも、たのしそうに、しあわせそうに、こうさくをしています。そして、こうさくをおしえるゴロリもまた、たのしそうで、しあわせそうなのでした。
――――心にいつでも“わくわく”を。
【おしまい】
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